「それより、突然の呼び出しでしたが、どうかされましたか?」
「いやぁ〜、君もここに来て、もう1週間経つからね。
どうだい?この学園に、少しは慣れたかな?」
……慣れた、といえば慣れてきた方だろう。
まだ戸惑う部分もいくつかあるけれど、やっていけないワケでもない。
「大丈夫ですよ。問題ありません。それもこれも、全て学園長のおかげです」
この人は出会ったときから、あたしのことを気にかけてくれていた。
だからあまり、他のことで心配させたくない。
優しい人なのだと、手に取るようにわかるこの老人に、あたしは力になれることがあったら全力で役に立ちたいと思う。
「そうかい。なら良かった。友達もたくさんできたかな?」
「…………」
友達……。
その点に関しては、思わず口を結んでしまう。
先ほどの廊下を歩いていたときの他人の様子から、お世辞でもあたしは友達ができたとは言えない。