「これでカメラのことはいいんですよね?
それ食べたら、出て行ってください」



食卓を横目に、あたしはワンちゃんにお水をあげる。


あいにく、ドッグフードはこのワケあり荘にないから、これで我慢してね。


喉が渇いていたのか、ワンちゃんは勢いよくお水を舐めて飲んでいた。


すると男が、相変わらず口をモグモグさせながら、不思議そうに喋り出す。



「出て行くって、なんで?」


「なんでって、それは……ここはあたしの家だからです」


「うん。俺もここの住人」


「は?」



男の言葉に、時が止まった。




「だから、俺もワケあり荘の住人なんだけど」




はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?