私もコーヒーを飲み終わり、お客さんも少なくなったとこで席を立った。

「ごちそうさまでした」

声をかけて会計に向かうと、安藤さんが来てくれた。

向かい合って会計を済ましたところで、小声で話しかけてみた。

「あの・・」

「はい?」

安藤さんが『ん?』と首を傾げる。

「お部屋に行ってもいいですか?」

上目遣いで尋ねると、「もちろんですよ、閉店したらすぐに帰りますね」と私と同じように小声で返してきた。

何だか可笑しくなってつい笑ってしまう。

そして私もお店を後にして、安藤さんの部屋に向かった。

2階に上がりダイニングキッチンからリビングに向かい、テレビをつけてソファーに腰を下ろす。

しばらくボーッとした後時計を見ると、もうすぐ閉店の時間。

お風呂の準備をしようと立ち上がり、浴室へと向かった。

浴槽を洗ってからお湯はりの自動ボタンを押してリビングに戻り、バラエティ番組を見ていると階段を登ってくる足音が聞こえてきた。

「ただいま」

落ち着いたいつもの声で安藤さんがダイニングキッチンに入ってきたので、私も早足でリビングから出て安藤さんに抱きついた。

「おかえりなさい」

私がいつもと違う迎え方をして安藤さんは驚いたようだけど、すぐに抱きしめ返してくれた。

「今日は大サービスですね」

「はい、特別です」

答えてクスクス笑うと、安藤さんは「光栄です」とより強く抱いてくれた。

その腕の中がすごく気持ちよくてそのままでいたくなるけど、疲れているだろう安藤さんを思い声をかける。

「お風呂湧いてますよ」

「本当に?ありがとう」

「すぐ入りますか?着替え準備しますね」

「入りましょう」

そう言って私の手を引いて歩き出した。

「えっ・・」

驚いた私が声をあげても何も言葉が返ってこない。

戸惑いながらも浴室まで連れて行かれると、振り返った安藤さんが私を抱きしめてキスをしてきた。

軽いキスではなく、深く求めてくる。

私の頬と後頭部を両手で包み、唇を何度も何度も離すことなく食み舌を這わせる。

ゆっくりと身体を撫で始めたその指先が胸元のボタンを1つ1つ外していき、スルリとブラウスが落ちていく。

スカートも、下着も、ゆっくりと私の身体から剥がれていく。

安藤さんもシャツを脱いでまた私を抱きしめた。

耳たぶから首筋へと滑る安藤さんの唇に感じてその身体にしがみつけば、彼ももう全てを脱いであり直接肌のぬくもりを全身で感じることができる。

そしてもう一度唇を重ねた後、浴室のドアを開けて私の手を引いて入っていった。