「安藤さん・・大好きです。沢山の人が安藤さんを大好きでも、私は安藤さんを独り占めしたい位に大好きです。時々こうやってウジウジしちゃうかもしれないけど、嫌いにならないで下さい」

そう言ってギューっと抱きしめると、クスッと笑った安藤さんは私の頭に顔を寄せてきた。

「嫌いになんてなれません。茉優さんが可愛いくて、愛しくて、僕はこんなにも幸せでいられるんです。もしこれから今日のように茉優さんに何か言ってくるような人がいたら、僕がハッキリと伝えます。僕が茉優さんに恋をして、僕のものにしたんだって」

「・・・安藤さん」

ストレートな言葉で私を慰め、愛情を伝えてくれる安藤さんに、あれだけ落ちていた気持ちが向上してくる。

それと共にうつむきがちだった顔も上げることができて、やっと真っ直ぐ安藤さんの顔を見つめうことができた。

すると安藤さんは私の腕の下と膝裏に手を回して抱き上げると、自分の上に横抱きに乗せた。

急に体が浮いたので「えぁっ」と変な驚きの声が出てしまったのに、そんな私に安藤さんはニッコリ笑顔を見せる。

「重くないですか?」

心配してつい聞いてみる。

だって全体重が載ってしまているんだもの。重いに決まっている。

それなのに何でもないかのように、笑顔のまま安藤さんは答えた。

「全然重くなんかないですよ。こんなに簡単に抱き上げられますからね」

「本当に?」

「本当です」

そう答えた安藤さんの顔を見ながら、抱っこされていることに羞恥心が沸き起こる。

「あの・・恥ずかしいです」

「すいません。でも、ウジウジしちゃうけど嫌いにならないでと言った茉優さんがあまりに可愛くて。守りたいと思う気持ちと愛しさが共存して全てを抱きしめたくなってしまいました」

そう言って私の鼻先を緩く撫でる。

そんなことを言ってくれる安藤さんこそ愛しくなって、初めて私から唇へ軽いキスをした。

顔を離すとポカンとした表情を見せた安藤さん。

あ・・驚いている。初めて見るその顔がすごく新鮮で、つい笑ってしまった。

すると我に返った安藤さんは私の瞳を見つめると、「もう一度」と求めてきた。

その瞳は妖艶で、私はすぐに誘われる。

目を閉じずに私を待っている・・・。

そっと顔を寄せてもう一度チュッとキスをした。

恥ずかしくて離れようとしたのに、今度は安藤さんがキスをしてきた。

私のようにチュッと軽く触れたけれど、すぐに離れていかない。

触れた唇は柔らかさを確認するように何度も重ね続ける。

唇を優しく深くゆっくりと・・・。

私も応え、同じように安藤さんの唇を求め続けた。

そして私の唇から耳元へたどり着いたその唇は、「このまま帰したくないですね・・」と甘い声で誘惑する。

答えは求めずに私の首筋を、ゆっくりゆっくりと滑り落ちていった。