Special coffee, with you.【番外編追加】

お店を出ると安藤さんの歩く速度がだんだん落ちていく。

1歩前を歩く安藤さんはトボトボと歩きながら、振り向かずに問いかけてきた。

「コーヒー・・、美味しかったですか?」

「え?」

「あのお店のコーヒーが、好みでしたか?」

「コーヒー・・・ですか?」

「はい」

返事だけしても振り向いてくれないその背中は硬い。

コーヒー・・・?って今のお店の?

どうして急にそんなことを聞いてくるのだろう。

同業者ならそういうことが気になるのかな。

でも好みか?って聞かれたら、今の私の好みの味は安藤さんのコーヒーに決まっている。

「美味しいとは思います。でも私は・・」

「では、あちらのオーナーを気に入られているのですか?」

私が答え終わる前に食い気味に質問を重ねてきた。

・・・今度はオーナー?あのお店のオーナーを私が気に入っているかって?

「あのお店のオーナーは・・確かに落ち着かれていて素敵ですけど・・・」

そう言うと、安藤さんの声も低く硬くなった。

「好きなんですか?」

「・・・・・え?・・・は?」

何が?え・・何で?私があのオーナーを好き?

嘘でしょう?そんなわけないよー!

「ちょ・・ちょっと待ってください!」

両手でストップ!とこの状況を独り制止する。

何を勘違いされた?

焦る気持ちと困惑で頭がグルグルする。

「どうなんですか?」

そう言って振り返った安藤さんは苦しそうな表情を見せた。

どうしてそんな顔するの?

好きとか・・何でそんなこと聞くの?

そんなこと気にするなんて・・もしかして・・・。

安藤さんの顔を見ていると、信じられないけど何となく気持ちが伝わってきてしまった。