Special coffee, with you.【番外編追加】

店内の空席待ちのお客さんが案内されて、外で待つお客さんに声を掛けに来た樹里ちゃんが私に気が付くと、パッと可愛い笑顔を見せた。

「茉優さん」

手を振りながら私の名前を呼ぶ。

それに応えるように私も手を振った。

「次の3名様、中の席でお待ち下さい。すいません、もう少しお待ちください」

そう外に並び続ける私達にも声をかけると、また店内へと戻って行った。

それから少し待ったところで私の順番が来て、中のイスで待つことになった。

店内に入ると安藤さんの「いらっしゃいませ」の穏やかな声が聴こえた。

カウンターに視線を向けると、安藤さんが笑顔をみせてくれている。

軽く頭を下げてからイスに座ってまた順番を待つ。

その間チラチラと安藤さんを見ていると、次々にオーダーされたものを作り、話しかけるお客さんも相手していて、とても忙しい様子が伝わってくる。

すると航太くんが側に来て、案内をしてくれた。

「茉由さん、お待たせしました」

「あ、はい」

高い位置から笑顔を向ける航太くんに返事をして立ち上がると、「こんばんは」と挨拶してくれた。

「こんばんは」

「茉由さん、カウンターが空いていないので奥の席でも大丈夫ですか?」

「うん、どこでもいいよ」

気を使って聞いてくれるその気持ちが嬉しい。

本当はいつもの席がいいけれど、そんなわがままは言っていられない。

これだけ混んでいるのだから、好きな席など選べるはずないし。

前回もカウンターは満席で、テーブル席に案内してくれた樹里ちゃんに気を使わせてしまった。

だから航太くんの後について空いている席に案内されると、そこはカウンターから離れた一番奥の席だった。