Special coffee, with you.【番外編追加】

それからしばらく菊池くんの話に耳を貸し、適当に相槌を打つ。

でも視線はついつい安藤さんを追ってしまう。

オーダーされたものを作ったり、洗い物をしたり。

時々カウンターからいなくなって、また戻ってくる。

それを何となく眺めていた私に、会話の途中だった菊池くんはクスクス笑いながら言った。

「そういう所だよ。分かりやすいな」

「え?何が?」

「だから、茉優の気持ちが俺にバレるところ」

「なっ・・」

「ん?」

「何で・・どうして?」

やっと言葉にできたのに、あっという間に返されてしまった。

「おすすめの店教えてって言ったのに、この店のことは教えなかったし。息抜きする場所って言っていたのに、イケメンいるし。お前嬉しそうだし」

「うっ」

たじろぐ私に構わず菊池くんは、更に私を問い詰める。

「それに見ていれば分かるじゃん。お前の視線、ずっとあの人追い続けてるしさ」

「あ・・・」

あまりに図星でもう返す言葉がない。

私はさりげなく見ていたのに、隣から見ればそうではなかったか。

菊池くんを非難する気持ちが急にしぼんでいく。

「そんなに分かりやすかった?」

「まあな」

笑顔を見せる菊池くんに、私は「そっか・・」と返した。

すると私の頭をクシャクシャと撫でた菊池くんは「まあ頑張れ」と優しく言う。

でもその後はまた軽い口調の菊池くんに戻りほくそ笑んで見せる。

「秘密にしてやるからここは茉優のおごりな?」

「え?」

「じゃあ俺会社に戻るから!お疲れ!ごちそうさまでした!」

そう言うと颯爽とお店を出て行ってしまった。

そのまま閉まったドアを唖然と見ていると、樹里ちゃんが駆け寄って来て興奮気味に聞いてきた。