不機嫌な私のことなど気にする様子もない菊池くんは、メニューを手にしながらカウンターに立つ安藤さんに声をかけてオーダーした。
「すいません、ブレンドとアイスレモンティー下さい」
「はい、かしこまりました」
落ち着いた声で応えた安藤さんと視線が合ってドキッとする。
いつもなら笑顔を見せてくれるのにな・・。
切ない気持ちと愛しい気持ちが入り交じり、何とも言えない感情に戸惑ってしまう。
ドリンクを作り始めた安藤さんを見ているとそんな気持ちも和らいできて、隣にいる男に小声でたしなめる。
「コーヒーが美味しいのに!」
「別にいいだろ~」
飄々と答えるこの男が憎らしい。
そんな彼はニヤリと笑い、とんでもないことを言い出した。
「なあ・・茉優。あの人すげーイケメンだな」
その言葉に嫌な予感が走る。
こういう時菊池くんはろくなことを言わない。
何でもないふりをして「ん・・」と返したけど、そんな私の顔を見て右の口角を上げると身体を寄せてきて左の耳元で小声で言った。
「お前、あの人狙いだろ」
「・・えっ!」
突然の指摘に大きな声が出てしまった。
その言葉に私は思わず目を剥く。
そんな返しをした私を見た菊池くんはカウンターテーブルで頬杖をつき、ニヤニヤと笑う。
「図星だな」
「え・・違・・」
「違うわけ無いだろ?」
私の言葉に重ねて否定してくる。
確信を持っているように、流し目で優位に立つ。
どうしてばれちゃうの?
焦る気持ちが菊池くんへの反論を崩してしまう。
「お前分かりやすいな~。そっか、そっか」
楽しそうに頷く彼に、口をパクパクさせる私。
なかなか言葉を発することができない。
「なっ・・」
「ん?何?」
「何で・・どうして」
たじろぐ私に構わず菊池くんは、更に私を問い詰める。
「どおりで俺にこの店を教えないはずだ。ふ~ん、茉優がね~」
もう恥ずかしさと恨めしさで一杯になって耐えられなくなる。
楽しそうにニヤニヤする彼の口を私は右の手のひらでギューと押し付けて、なんとかそれ以上喋らないように黙らせた。
もー!もう黙れ!黙りやがれ!このナンパ男が!
今までこのお店に来て後悔などしたことなかったのに、今日だけは後悔してしまう。
今日だけ来なければ菊池くんにばれることなかったかもしれないのに・・。
彼を睨みながら口を塞いで顔を寄せ「それ以上言わないで!」と小声で注意した時、カウンターからガチャンッと音がしておもわず視線を移すと、安藤さんが「失礼しました」と言って転がったカップを組み直していた。
「すいません、ブレンドとアイスレモンティー下さい」
「はい、かしこまりました」
落ち着いた声で応えた安藤さんと視線が合ってドキッとする。
いつもなら笑顔を見せてくれるのにな・・。
切ない気持ちと愛しい気持ちが入り交じり、何とも言えない感情に戸惑ってしまう。
ドリンクを作り始めた安藤さんを見ているとそんな気持ちも和らいできて、隣にいる男に小声でたしなめる。
「コーヒーが美味しいのに!」
「別にいいだろ~」
飄々と答えるこの男が憎らしい。
そんな彼はニヤリと笑い、とんでもないことを言い出した。
「なあ・・茉優。あの人すげーイケメンだな」
その言葉に嫌な予感が走る。
こういう時菊池くんはろくなことを言わない。
何でもないふりをして「ん・・」と返したけど、そんな私の顔を見て右の口角を上げると身体を寄せてきて左の耳元で小声で言った。
「お前、あの人狙いだろ」
「・・えっ!」
突然の指摘に大きな声が出てしまった。
その言葉に私は思わず目を剥く。
そんな返しをした私を見た菊池くんはカウンターテーブルで頬杖をつき、ニヤニヤと笑う。
「図星だな」
「え・・違・・」
「違うわけ無いだろ?」
私の言葉に重ねて否定してくる。
確信を持っているように、流し目で優位に立つ。
どうしてばれちゃうの?
焦る気持ちが菊池くんへの反論を崩してしまう。
「お前分かりやすいな~。そっか、そっか」
楽しそうに頷く彼に、口をパクパクさせる私。
なかなか言葉を発することができない。
「なっ・・」
「ん?何?」
「何で・・どうして」
たじろぐ私に構わず菊池くんは、更に私を問い詰める。
「どおりで俺にこの店を教えないはずだ。ふ~ん、茉優がね~」
もう恥ずかしさと恨めしさで一杯になって耐えられなくなる。
楽しそうにニヤニヤする彼の口を私は右の手のひらでギューと押し付けて、なんとかそれ以上喋らないように黙らせた。
もー!もう黙れ!黙りやがれ!このナンパ男が!
今までこのお店に来て後悔などしたことなかったのに、今日だけは後悔してしまう。
今日だけ来なければ菊池くんにばれることなかったかもしれないのに・・。
彼を睨みながら口を塞いで顔を寄せ「それ以上言わないで!」と小声で注意した時、カウンターからガチャンッと音がしておもわず視線を移すと、安藤さんが「失礼しました」と言って転がったカップを組み直していた。



