Special coffee, with you.【番外編追加】

横断歩道の信号が赤から青へと変わったのを確認して渡り切れば、もう目の前にプレシャスが見える。

店前まで行きドアノブに手をのばそうとした時、真後ろから声をかけられた。

「茉~優」

「えっ?」

名前を呼ばれて驚き振り向くと、すぐそばに菊池くんが立っている。

しかも満面なる笑顔で。

この場の状況が把握できず、ポカ~ンと間抜けな顔になる。

なんで?どうして菊池くんがここにいるの?全く理解できずにただ菊池くんの顔を見続けた。

そんな茉優の様子が面白いらしく、からかう様な眼差しを向けてくる。

「なんで?・・ここにいるの?」

そう、どうして?ここは教えていないのに・・・。

そんな私の考えは見透かしているように笑いながら答えた。

「後ろつけてきたのに、お前全然気付かないのな」

「はあ?」

つけてきたってどういうこと?理解が出来ず首を傾げる。

「会社に戻ろうとしたら茉優が歩いているのを見かけて声を掛けようと思ったけど、早足で歩いているお前見てたら面白そうだからつけてみただけだよ」

そんなことをサラっと言う菊池くんに呆れて言葉が出ない。

なんて人なの・・まったく。普通気になっても人のあとまでつけてこないよね・・。

そのまま不服な顔をしている私の気持ちなんておかまいなしに笑顔を見せてくる。

あぁ確かにこういう人だよ、菊池くんは。

そしてジト~っと冷ややかな視線を送る私からプレシャスへと視線を移して聞いてきた。

「なあ、この店お前が教えてくれたカフェリストに入ってないだろ」

「・・・」

バレたか・・。

ついつい舌打ちしたくなってしまう。

「まあいいから、とりあえず入ろうぜ」

言葉を返さない私の事など気にせずに、私の背中をグイグイ押しながら入口へと向かった。