「もうっ…お風呂入るからどいて」
照れ隠しに光輝を押して、あたしは2階の自分の部屋に逃げ込んだ。
くそう、なんでこんなにドキドキするんだ。
最近自分がよく分からなくて怖い。
モヤモヤをすっきりさせたくて、あたしは部屋着と下着をタンスから出すとお風呂場に向かった。
バラの入浴剤を入れてゆっくりとお風呂に浸かると、体の筋肉が解れていくのを感じた。
お風呂は好き。
あたしの唯一ゆっくりできる時間だから。
そして時間をかけて入ったお風呂を出た時にはすでに一時間が経過していた。
髪をタオルでごしごしと拭きながら部屋に戻る。
「……入りすぎたかな」
なんか湯冷めしたみたいだ。
ぼすん、とベッドに飛び込むと急に眠気が襲ってきた。
あ……なんか眠いかも。
重くなってきた瞼をゆっくりと閉じる。
タンッ…タンッ……
誰かが階段を上ってくるような音が聞こえてきたけれど、眠りにつく寸前だったあたしには気にする余地なんてまったくなくて。
気づけばあたしは夢の世界へと旅立っていた。

