うっわ、何よ。
足なんか組んじゃってさ?
自分が長いのアピールですか。
しかも紅茶なんてどこから出したんだ。
お坊っちゃん気取りでムカつくなあ。
そんな皮肉を心の中で叫んでいると、不意に光輝が本から顔を上げてこちらを見てきた。
視線が絡む。
あたしがめげずにじっと見つめていると、何故かふっと笑われた。
「何見とれてんの?」
「誰が」
いや、あたしが見とれるなんて断じてない。
幼馴染みにいくらなんでも見とれるわけないじゃない。
昔の頃を知ってるから尚更ね。
むすっとしていると、光輝が読んでいた本をテーブルに置いてゆらりと立ち上がる。
そして、あたしの目の前まで距離を縮めてきた。
「……今日二人らしいじゃん」
「だから何…」
にっと口角を上げた光輝に危険を感じるあたし。
こういう顔をしてる時って、たいてい何かを企んでいるから。
そう思って身構えるつもりだったのに……
「……なっ!」
気づけばあたしはドアと光輝に挟まれていた。
逃げ出そうとして横を見ると、とんっと手を付かれて逃げ道を封鎖される。

