「……」



鏡の前で必死ににらめっこしているのは…紛れもなくあたし、雫です。


とうとう今日は土曜日。


光輝とデートをする日だ。


嫌だと思っていたはずなのに、当日になるとかなりおめかししている自分がいて。


なんだか悔しい。


しかも、ちゃっかり化粧もしちゃってるし。


多分あれだけ顔の整っている光輝の横を歩くから、生半可な格好が嫌だ…という気持ちからだろう。


「こんなんでいっかぁ…」



鏡の前で皺を整えつつ、独り言を呟くあたし。


服装的には問題はないだろう。


あと指摘されるとすれば顔だけだから、仕方がない。


今日は何も考えずに過ごそう。


そう思って部屋を出ようとしたら、


ガチャ…


あたしが開けるよりも早く部屋のドアが開いた。


もちろん入ってきたのは光輝だ。


「行くぞ……おっ」



あたしの姿を確認するなり、まじまじと見てくる光輝。


……なんか居心地が悪い。


変とか言われたりしないかな。


そんな不安があたしを襲ったけれど、心配はいらなかったらしい。