そして目が合った瞬間、にやっと笑ってきた。
んー……
すごーく嫌な予感がするのは…気のせいかな?
そう身構えていると、不意に光輝の形のいい唇が動くのが見えた。
「じゃあさ…お礼してよ」
「へ?」
唐突な光輝の言葉に変な声が出る。
お、礼……?
まっ、まさか体とかで払えとか言うんじゃないでしょうね…!?
一気に体に鳥肌が立ったけれど、光輝はそのまま表情を変えずに言った。
「今週の土曜日、空けといて」
「……え?」
「俺の買い物に付き合ってよ」
な、なんだ……それだけか。
……って、なんか期待してるみたいじゃん!
バカバカッ!!
「何…百面相してんの?」
「いえ、何でもありません…」
「じゃ、約束だから」
「ええ……」
土曜日ってあたしの睡眠チャージの日なんだけど。
でも…助けてもらったし文句は言えないな……。
「どうせ何もないだろ?」
「そうだけどさ~」
「じゃ、決まり」
いくらなんでもいきなりすぎでしょ…。
そう思ったけど…歩き出した光輝の背中を見て、もうどうでもよくなった気がした。
遠くなる光輝の背中を小走りで追いかける。
その心はさっきよりも遥かに軽くなっていた。