「雫だって…俺のこと、
そんなに好きじゃなかっただろ?」
「ぇ……」
な、にそれ……?
驚きのあまり固まることしかできないあたし。
なのに、神山先輩は笑ってる。
どうして笑えるの。
「俺が告ったから付き合い始めただけで」
あたしの気持ちも知らないで…よくそんなことを……。
さすがに、返答できなかった。
代わりに体が震え始める。
どうしよう……本当に泣きそうだ。
泣きたくないんだよ、本当に可哀想なやつになっちゃいそうだから。
これ以上は自分を傷つけたくない。
しかも、自分自身の行動で。
なのに、目が潤んでくるからどうしたらいいか分からない。
とりあえず泣きそうなところを見られたくなくて、あたしは俯く。
「そろそろ話そうと思ってたんだ。
雫…もう終わ……」
バキッ!!
先輩が言い終える前に、何かがぶつかる生々しい音が聞こえた。
「ってぇ!!」
神山先輩が声を上げて、頬を押さえつつしゃがんだのが同時だった。
何が起きたか理解できなかった。
ただあたしを隠すように、広い背中が目の前に立ち塞がっていることだけは理解できる。
ただ…一番の謎は目の前にいる人物だった。

