――――――また、か。
最初に思ったのはそれだった。
かつて感じたことのある胸の痛みがよみがえる。
胸を絞られるような痛み。
もう感じたくはなかったのに。
これで最後にしようと思っていたのに。
………泣きたくなる。
「お前、さ……」
話しづらそうに言い出した光輝よりも、あたしは次の神山先輩の会話に耳が向いていた。
「そういえば、英明の彼女はいいの?」
綺麗な女の先輩が、神山先輩の首に手を回す。
神山先輩はというと、バカにしたように笑って女の先輩の頬に触れた。
「あぁ…あいつ?
いいよ、別に。勝手に待ってるだけだし」
先輩の言葉が胸をえぐる。
まさか…こんなことになっているとは思わなかった。
あの神山先輩の優しい笑顔の裏に、こんな一面が隠されているなんて。
誰が想像できただろう。
あたしは先輩達のこと密会のために、夕方遅くまで待っていたのか。
「あはは、かわいそーっ」
そう言って響いた高笑いが耳に残る。
鼻の奥がつん、とする。
そして、影が重なって二人がキスしたのを目撃した時あたしは無意識に走り出していた。

