自分の唇に触れていたのは、光輝の唇で。
それがキスだと気づくのに時間はかからなかった。
う、そでしょ……?
脳内でパニックが起きる。
なぜなら……あたしにとってこのキスは、ファーストキスだったのだから。
激しいキスではなかったけれど、決して短いとは言えないキスにあたしは泣きそうになる。
最低っ……!
「はっ、なしてっ!!」
一瞬の隙を狙ってそう叫ぶと、意外と容易く光輝は離れた。
そして、自分の唇をペロッと舐めながらあたしを見下ろしてくるやつは……認めたくないけど、色っぽい。
軽く酸欠状態になっているあたしの前、光輝はゆっくりと口を開いた。
「有言実行タイプなんだよね、俺」
「っ……」
「お前のファーストキス、貰っちゃった。
俺のこと嫌いなお前にとって、
最高の復讐方法だろ?」
「っ、ファーストキスじゃないもん!」
気づいたらそんな嘘を口走っていた。
「は?」
光輝が少し不機嫌そうに顔を歪めたのなんて、あたしには関係なかった。
ただただ悔しい。
こんなやつにファーストキスを奪われたという事実を、あたしは認めたくないのだ。
ファーストキスは好きな人とする、ってずっと憧れていたのだから。

