「もう行っちゃったけど…
公園で待ってるから来てほしい、って」
「え……?」
お母さんがくすっと笑うのと、あたしが固まるのはほぼ同時だった。
う、そ……?
いや、でもまさか……。
淡い期待が再びあたしを支配して、思わず立ち上がったあたし。
「誰?」
「それは…
雫が一番分かってるんじゃないの?」
その言葉を聞き終えたどうかは定かではない。
ダッと無意識に駆け出していこうとして、お母さんの横を通り抜けようとした時、
「あ、雫!」
お母さんに呼び止められて、振り返る。
「ワンピース、着ていったら?」
どのワンピースか一瞬で理解して、にやけてしまうあたしは本当にどうしようもなく単純なやつだ。
バレたくなくて俯いたあたしのことまで全て見透かしているお母さんは小さく笑って、タンスの奥から綺麗に畳まれたワンピースを取り出してくれた。
「うん、似合うわね。
きっと喜んでくれるはずよ」
「……ありがとう」

