宅急便の人は何も悪くない。
ただ…期待してる自分に恥ずかしさが込み上げてきただけ。
もう考えないようにしよ。
そう思って、あたしは再びシャーペンを握りしめる。
塾の英語の予習を始めると意外と集中できて、途中で
ピーンポーン
という音が聞こえてきても、お母さんが誰かと楽しそうに話していても気にならなくなった。
光輝が夢に向かって頑張っているのは分かっているから。
あたしも第一志望の大学に受かるって決めたんだ。
光輝が頑張っているというだけで、自分も頑張れる。
そう思うと、恋の力ってすごいと思った。
一段落ついて科目を変えようと英語のテキストを閉じた時、誰かが階段を上ってくる音が聞こえてきた。
ふとドアに目を向けると、ガチャッと扉が開いて現れたのは……なんだか嬉しそうなお母さん。
「雫、お客さんよ」
そう言ったお母さんの言葉に思い当たる人物がいない。
誰だろう?
愛子は昨日会ったばっかりだし……。

