それから月日は経って…6月になった。
梅雨の季節になって毎日がじめじめしている天気の中、あたしは読書をして過ごしている。
相変わらずあたしの記憶は戻らないまま。
だけど、少しずついろんなことを知るようになった。
それもすべて秋山君のお陰なのだけれど。
「あれ…珍しいな」
朝食を終えて、カーテンを開けて驚いたのは……久しぶりに青空が見えたから。
「窓開けよ」
ここ最近ずっと曇り空だったから、なんだか嬉しい。
窓を開けると、雨が降ったあとの少し湿った空気が飛び込んできた。
窓際に置かれている椅子に座って外を見ていると、不意に風が吹いてきて髪の毛がさらわれていく。
なんとなく……風に呼ばれている気がした。
あれ……?
不思議な感覚に襲われて胸を押さえる。
苦しいとかそんなんじゃない。
今すぐ行動したいような…というより、しなきゃいけないというような使命に駆られる感じ。
今までこんな感情を抱いたことがないせいか、すごくドキドキしている自分がいた。

