……そして。
俺は雫と窓の間に割り込むように、雫の前に立ちはだかった。
「雫……?」
静かに名前を呼ぶと、彼女の目が俺に向けられる。
何も変わっていなかった。
ただ、頬にガーゼが貼られているのがいつもと違うだけ。
なのに……何かが違うんだ。
俺を見たまま何も言わない彼女にそっと手を伸ばす。
だけど頬に触れる直前、俺ははっとしてその手を止めた。
ここにきてようやく雫の異変に気づく。
なんだ……
このガラス玉のような瞳は。
人形みたいな表情は。
雫はもっと感情が豊かなはず。
俺を見たら怒るか驚くか…少なくとも何か感情を表すはずなんだ。
なのに、今の彼女にはそれがない。
目の前にいるのは……誰だ?
そして、次に彼女が放った言葉に俺は絶句した。

