「でも大きな障害は乗り越えました。
早ければ3日くらいで
目を覚ますと思いますよ」
「ありがとうございました」
深々と頭を下げる雫の母親と一緒に、俺も頭を下げた。
助かったとはいえ、油断を許さないような状況に心は複雑だった。
雫の笑顔が頭に浮かぶ。
お願いだから…無事に目を覚ましてくれ……。
そして、俺に謝らせて欲しい。
言いたいことがあるんだ。
もし雫が目を覚ましたら、その時は……――――。
「光輝君……?」
雫の母親に呼ばれてはっとする。
見ると、彼女は俺ではなく俺の鞄を見つめていた。
「携帯…鳴ってるみたいだけど…」
「……!」
言われて初めて、自分の携帯が震動していることに気づく。
だけど気づいた時に、ちょうど震動は止まってしまった。
……誰だよ、こんな時に。
俺は雫の母親に二、三言告げると電話をかけ直しに行くためにエレベーターのボタンを押した。

