あんなこと…言わなきゃよかった。
雫が傷つくことは分かっていたはずなのに……俺は最低だ。
彼女の気持ちが俺に傾いてきているのは、うすうす気づいていた。
でも……俺じゃダメなんだ。
雫に夢を諦めないとか偉そうなことを言ったけれど、本当に叶えられるかなんて分からない。
それに……いつ日本に戻って来れるかも分からない。
もしかしたら今回勝手にこっちに来たことに父さんが激怒していて、何年も帰ってこれないかもしれない。
なのに…俺のことを待ってろ、なんて言えるわけないんだ。
わざと傷つけて『最低な男』と思われて…嫌われればよかったんだ。
雫の性格からして一発殴って去っていくと思っていたから、泣き顔は予想外だった。
あんな顔させるつもりなんてなかったのに……
ましてや、こんな事故になるなんて……
「……!」
不意に『手術中』のランプが消えて、はっと息を呑む。
思わず立ち上がると、中から一人医者が出てきた。

