——光輝side——
「し、ずく……?」
頬に添えられた手が、がくんと力を失って滑り落ちていく。
さっきまで名前を呼んだら反応してくれていた雫。
見下ろした彼女の顔は怖いくらいに青白くて。
血の気が引いた顔と閉じられた瞼に体が震え出す。
「お、い……」
「……」
う、そ…だろ……?
頭の中が真っ白になる。
「雫っ!!死ぬなっ!!!」
情けない姿を晒しているのなんて関係なかった。
いくら呼びかけても、目を開けてくれない彼女に焦りが募っていく。
「雫……っ」
名前を呼んではっとする。
なぜなら、彼女は息をしていなかったのだから……。
――――――ヤバい。
そう思った時には、俺は雫の制服のボタンに手をかけていた。
くっそ……手が震えてボタンが上手く外せねぇ。
それに対する苛立ちからか、気づけば俺は
「救急車を早くっ!!
早く呼んでくれっ!!」
隣で呆然と立ち尽くしている、車の運転手にそう叫んでいた。
俺の言葉に慌てつつも電話を探し始める運転手。

