「お、願い……」
「っ、」
「自分を…責め、ないで……?
あ、たしが…悪いの……」
精一杯、力を振りしぼって出した声は本当に小さくて。
それでも光輝には伝わったらしい。
「雫っ…!」
さっきからずっとあたしの名前ばかりを呼んでいる彼が、ぎゅっとあたしを抱き締める。
そんな彼の頭上では、桜の花びら達が儚くも綺麗に散っていた。
ねぇ……桜さん。
あなたの花びらのように…運命って、簡単に掴めないものなんだね。
ねぇ……神様。
もしあなたが存在するのなら…大切な人を傷つけたあたしの……たった一つの願いを聞いて下さい……。
「まだ…死にた、くないなあ……」
もう一度だけ…あたしに生きるチャンスを下さい……。
やり直すチャンスを下さい……。
これから先、どんな障害も乗り越えることを誓うから。
だから…お願い……――――。

