愛しい人の声が耳元で聞こえて、重かったはずの瞼がゆっくりと持ち上がる。
視界が霞んでよく分からないけど、光輝が絶望的な顔をしているのはなんとなく判断できた。
何だか意識も朦朧として危うい。
あ、れ……?
あたし…轢かれちゃっ、た…んだよね……?
ねぇ…あたし……死んじゃうのかな……。
光輝の顔をぼんやりと見つめていると、不意に彼がはっと息を呑んだのが分かった。
その直後、自分の頭から生温かい何かが流れていくのを感じる。
それが血であることは、こんな状況に陥っても容易に理解できた。
やだよ…そんなの……。
あたし…死に、たくないの……。
まだ…やりたいこととか……沢山あるの…。
それに…まだ光輝に想いを伝えてないんだよ……?
「……っ!!」
鉛のように重い手を光輝に伸ばして、そっと頬に触れる。
たったそれだけなのに驚いたように…そして苦しそうにあたしを見つめる光輝は、いつもの彼からは想像できなかった。
ねぇ…お願いだから……
光輝、そんな悲しそうな顔しないでよ…。

