光輝が不自然に言葉を切る。
彼の驚いたような顔が向けられているのを見て初めて、自分の頬に涙が伝っているのを知った。
やっぱり…キツいな……。
「そっ、かあ……」
泣きながら笑っているあたし…光輝の目にはどう映っているのだろう。
めんどくさい女?
もしかしたら勘違いしてイタいやつ、とか思われているかもしれない。
「しずっ…」
「もういいよ、ごめんね……。
先、帰ってて」
「雫っ!!」
焦ったような光輝の声が聞こえたけれど、それを振り切るようにあたしは走り出した。
告白……なんて。
しようとしてた自分がバカみたいだね。
光輝はあたしのこと、からかっていただけだったのに。
来た坂道を勢いをつけて下っていく。
なんとなくだけど光輝が追ってきているような気がした。
……いや、なんとなくじゃない。
後ろから聞こえてくる足音は明らかに彼のものだった。
だからこそ、早く逃げなきゃいけない。
捕まるわけにはいかないんだ。

