「これも…今日で最後だし」
そう言われて光輝の視線の先を追うと、そこにあったのは……
――――こうきとしずく
そう、あたし達の相合い傘だった。
今日で最後……か。
その言葉に胸がぎゅっと締め付けられる。
行かないでほしい。
そう言いたいけれど、あたしには言う権利はない。
だから……
「そう、だね……」
彼の言葉に肯定することしかできなかった。
そうだね……なんて。
本当にあたしは気が利かないと思う。
最後の日くらい、もっとマシなことを言えたらよかったのに。
あたしが返事をしたからか分からないけれど、光輝が不意にあたしに目を向ける。
視線が絡んで体がぴくっと跳ねたけれど、目を逸らすのがもったいなくて見つめ返す。
「やっと……」
「……?」
「やっと俺の話聞いたな」
「え……」
苦笑いしている彼の前、あたしは目を丸くする。

