ちょっと待ってて、と言ってそのまま光輝は自分の席に戻っていく。
些細なことですらドキドキしているあたしは、相当光輝にやられているらしい。
彼の後ろ姿をじっと見つめていると、つん…と背中をつつかれた。
見ると、そこにあったのは明らかに楽しんでいるような愛子の顔で。
「よかったじゃない~誘われて」
からかっているような感じにちょっと膨れつつも、嬉しさには勝てなくてにやけながら頷く。
だけど……
「秋山君!」
「ちょっとあたしが先よ!」
「何言ってるの!?」
やはり、すんなりは帰らせてくれないらしい。
聞こえてきた争うような声に目を向ければ、光輝を囲んでいる女の子達が揉めているのが見えた。
そんな女の子達に気づかれないように光輝はこっちを向いて首をすくめると、不意に携帯を取り出してメールを打ち始める。
そして、メールを打ち終えると光輝は周りの女の子達に何かを告げて、みんなで教室を出ていってしまった。
教室に残されたあたしと愛子はぽかん…としたものの、その直後に自分の制服のポケットの中で携帯が震えたのを感じて。
取り出して見ると、ディスプレイには『光輝』という文字が表示されていた。

