入ってすぐに目についたのは…もちろん相合い傘。
消えないようにそっと手を伸ばして触る。
「不安なら聞けばいい…か」
不安すぎるんだ、何もかも。
聞きたいこともたくさんある。
だけど…怖いんだ。
この……今の状態さえも壊れてしまう気がして、踏み出すのを恐れてる自分がいる。
本当は今の関係のままが一番いいのかもしれない。
でも…それ以上の関係になりたいっている自分もいるなんて……なんて矛盾した話なんだろう。
おこがましい話だよね。
昔つらく当たっていたくせに、今さら好きと伝えても…きっと光輝は信じてくれないよね……。
ざああっと春の風が公園に吹く。
桜吹雪が一斉に舞い上がって、この土管の中にまで入ってきた。
花ごと飛ばされてきた桜を指で摘まんで眺める。
あたし……いつからこんなに欲張りになってしまったんだろう?

