涙腺が完全に崩壊して、もはや学校に行けるような顔じゃない。
「……どいて」
「……」
「離してってばっ…」
「……無理」
「は……んんっ!?」
光輝が言った言葉を理解することがないまま、不意に塞がれた唇。
ドサッ…とあたしの腕から学校の鞄が滑り落ちて、床に落下した。
重さがなくなって宙に止まったままのあたしの手を、光輝が優しく握り締める。
そしてその手が腰にまわって、残りの片手があたしの頬をそっと撫でた。
―――――離れたくない。
口内に光輝の舌が侵入するのを許しつつ思ったのは、あまりにも自分勝手な気持ち。
あたしの気持ちだけで決められることじゃないのに。
だけど…やっぱり海外に行かないでよ……光輝。
そう、思わずにはいられなくて。
自分の涙でしょっぱくなったキスに終わらないでと願いながら、あたしはいつもよりずっと優しいキスを受け入れていた。

