きっと彼が優しいのはあたしと昔からの付き合いがあるから。
じゃないと、こんな可愛くないあたしなんか抱き締めて慰めてくれるわけないもの。
お願い…もう止めて……。
苦しいよ、光輝。
いっそのこと突き放してくれたらよかったのに、そうしないのは彼が本当は優しい人だからだろう。
「雫……」
そっと俯いていた顔を持ち上げられる。
驚いたのはあたしの泣き顔を見た光輝ではなく、泣き顔を晒したあたしの方だった。
なぜなら、光輝が今まで見たことがないほど苦しそうな顔をしていたのだから……。
そんな…悲しそうな顔であたしを見ないでよ……。
どうしようもなく切なくなって、
「バカ……なんて顔してんのよ…」
またもや突っ張って見たけれど、光輝の様子は変わらない。
呆れられただろうか?
もうすぐいなくなるというのに、相変わらずツンツンしているあたしを見てどうしようもない奴とか思っているのかもしれない。
……でもさ?
いつも突然現れて……強引にキスをして。
冷たくしたと思えば、優しくして。
あたしの心を奪ったくせに、突然いなくなるのは……ズルいんじゃないかな?
そんなことなら、ずっと冷たくしてくれたらよかったのに……。

