その勢いで立たされて、光輝の傘の中に連れ込まれる。
傘の中はあたしと光輝が入っても十分に余地があった。
あたしが濡れていないのを確認すると、光輝はゆっくりと歩き出す。
「あ、ありがと…」
「いーえ」
隣でくすくすと笑う彼の真意が読めなくて、あたしはほんのりと赤く染まった頬を隠すように俯いた。
光輝があたしの歩幅に合わせてくれているのが分かる。
あたしのこと嫌いなら気を遣わなきゃいいのに。
そう思うものの、やっぱり光輝の優しさは嬉しかった。
さっきから無言のままのあたし達。
それが苦じゃないのはきっと、さっきよりも収まってきた雨の音があるから。
でも、あっさりと沈黙を破ったのは光輝の方だった。
「最近よくこっちにいるよな?
通学路じゃないのにさ」
「この時期は…桜を見て帰るのが好きなの」
「……」
何も返事を返さない光輝にさっと不安がよぎる。
華の女子高校生が桜を見てまったりしてるとか…ばばくさい?
そう思うと、羞恥があたしを襲ってきて。
「ば、バカにしたでしょ」
気づけば、可愛くもないことを口走っていた。

