……ダメだ。
どうしても唇を見ちゃう。
光輝自身も唇を見られているのが分かったようで、あたしの頬に手を添えたままくすっと笑って、あたしに聞いてきた。
「俺のキス……そんなによかった?」
「……」
光輝のその言葉に何も言えなかった。
だって…本当のことだったから。
キスをされている時、確かにあたしは恍惚(コウコツ)していた。
「……!」
何も言わないあたしが意外だったのだろう。
光輝が驚いたように目を見開いて、あたしのことを見つめてくる。
逸らしたいのに、頬に触れている彼の手が逃げることを許してくれない。
だけど、先に目を逸らしたのは光輝の方だった。
そのままあたしの腕を引っ張って抱き起こされる。
困惑して光輝を見つめると、ぷいっと目を逸らして彼は言った。
「……じゃ、俺帰るわ」
「え……?」
「もうお前も怖くないだろ?」
そう言ってあたしに笑いかける彼に、またもや何も言うことができない。
怖さ……なんて。
とっくにどこかに消し飛んでいた。
問題はそこじゃなくて……あたしは…光輝にもう少しだけいてほしかったんだと思う。
だから、気づけばあたしは…
「……っ!」

