「先生、声からすると男っぽいし。
着替え中って言えば諦めるだろ」
な、なるほど……!
光輝の言葉に妙に納得してしまったあたし。
あとから考えたら、ただ単に言い訳が見つかったことに安心していただけだったのかもしれない。
だけど、
「おい、松原!返事をしなさい」
先生の大きな声に我に返ったあたしは、気づけば…
「い、今…着替え中なんですっ…!」
そう叫んでしまっていた。
「え…あ……そ、そうなのか。
他はもうやることは終わってるのか…?」
「は、はい…!」
動揺している先生に対して、不自然に思われないように返事をする。
すると先生は、分かったから着替えて早く寝なさい。とだけ言って次の部屋に向かってしまった。
とりあえず一難去ったことに安堵したあたしは、
「よ、よかったぁ……」
その場にへなへなとしゃがみこんだ。
そんなあたしの頭上から、ふっと笑う声がして。
災難はこれから先に起こるのだ、と気づいたのは次の光輝の言葉からだった。
「……まだ安心するのは早いと思うけど?」
「え……きゃっ!?」
ふわっと体が軽くなったかと思うと、急に視界が高くなる。
斜め上にある端整な顔立ちに、お姫様抱っこをされたのだと理解するのに時間はかからなかった。

