「見回りだー部屋に入るぞ~」
あたしの階の廊下から見回りの先生の声が聞こえてきて。
その瞬間、愛子の部屋という逃げ道はなくなったのだと理解した。
嘘でしょ……?
そして、不幸はそれだけでは終わらなかった。
「…っ……!」
ドアの前に立っていたあたしの背後から手が伸びてきて、あたしを囲むように両側に付かれる。
ドアと彼に挟まれて、あたしの心臓がさっきまでとは比較できないくらい激しく暴れ始める。
背中の方でくすっと笑う声が聞こえてきて、思わず俯いたあたしの耳元で彼が甘く、そして悪戯っぽく囁く。
「ほら、言っただろ?
先生がうろつくってさ。
どうすんの?」
「っ、そういうあんたこそっ…」
「見回りだー……ん?」
光輝の方が見回りの順番が先だから、そっちの方が危険じゃないか。
それを聞こうと思っていたら、すぐ隣の部屋の前から見回りの先生の声が聞こえて、思わず身を固くしてしまう。
だけど……
「なんだ秋山はもう寝たのか。
あまりにも早すぎるが、
健康でいいな…じゃ次だ」
なんと光輝の部屋に入らずに通りすぎた先生に、今度は冷や汗が吹き出す。

