聞かれなかったことに安心したのはもちろんだったけれど、あたしはそれ以上に不安に駆られていた。


今夜一人でこんな暗い部屋でいるなんて…嫌だな。


自分の家ですら無理なのに。


そんな不安そうなあたしに気づいているらしい愛子は、


「じゃ、あたし部屋に戻るわ~」



なんて楽しそうに笑いながら、ゆっくりと立ち上がる。


この鬼畜め、と言いたくなるのを必死でこらえて、あたしは愛子の部屋着を掴んですがるように見上げた。


「愛子~一緒にいてよ~」


「大丈夫だって!寝れば平気よ」



それができたら苦労しないんですけど。


手をひらひらと振りながら部屋から出ていってしまった愛子を見届けてから、ため息をつくあたし。


とりあえずベッドに入ってみたものの…


「……寝れない」



眠気なんて襲ってくるわけもなかった。


さっきは先生だったけれど、今回は本格的なお化けが出てきそうで怖い。


目の前にはテレビ、そしてあたしの後ろには鏡があることも怖さを増長させる原因だろう。