そこまで思って頭の中からその可能性を削除する。
ありえないよ、光輝が…あたしのことを好きだなんて。
だってあたしは復讐の対象者なんだもん。
光輝にとって憎くて憎くて…仕方ない奴なんだもん。
そう…思えば思うほど胸が苦しくなる。
……なぜかは分からないけれど。
とりあえず、光輝があたしにキスしてきた理由は理解できなかった。
ただ一つ言えることは…それが嫌じゃなかったということ。
それどころか、むしろ……嬉しかったんだ。
ゆっくりと離される唇に、あたしもそっと目を開ける。
そして最初に視界に入ってきたのは、ほんのりと頬を赤く染めた光輝の姿だった。
大きな手があたしに伸びてきて、すっぽりと頬を包む。
直視するのが恥ずかしくなって、そっと目を伏せるとゆっくりとまた光輝の顔が近づいてくるのが分かった。
それに気づいて、再び目を瞑るあたし。
真っ暗になったあたしが感じることができたのは、月明かりと押し寄せる波の音、そして優しいキスの温もりだけだった。