「そんなの…今関係ないんじゃないかな」
「……!」
「確かに聞いたのはあたしだけど…
それに光輝は心を開いて話してくれた」
驚いたように目を見開いてあたしを見つめている光輝に、ふっと笑いかけるあたし。
さっきまで少し落ち着かなかった心が、今では冷静になってる。
波の音を聞きながら、あたしはいつもはなかなか直視できない光輝の目を見つめて言った。
「悩んでる時に一緒に考えるのって…
当たり前のことでしょ?」
正直、こんなことは光輝に言えないけど…
あたし、光輝が本当のことを話してくれて嬉しかったんだよ。
だからこそ、弱気になってる光輝のことを放っときたくないと思ったの。
その心に、好きだとか嫌いだとか…まったく関係なかった。
ただ真剣に自分の思ったことを伝えたかったんだ。
本当にそれだけ。
それ以外のことはなにもない。
押し寄せてくる波を避けながら、少しだけずれていた歩幅を自ら埋めるために一歩進む。
そして、月の逆光で見えない光輝をまた見上げた。

