「あ、ありがと……」
「!」
「来てくれて…嬉しかった、よ……」
「っ、バカ……」
俯いているから光輝がどんな顔をしているのか、あたしには分からない。
ただ、自分の顔が酷いことになっているだろうから顔を上げるつもりはなかった。
……だけど。
「……?」
ふと不思議に思ったこと。
なんか光輝の心臓の音が少し速くなったような……?
「光輝、どうし……」
「……るせ、こっち見んな」
顔を上げようとしたら、大きな手に視界を遮られてしまって何も見えなくなった。
だけど一瞬だけ見た光輝の顔は、少しだけ赤かった気がする。
「心臓、苦しいの……?」
「走ったから速いだけ」
「……そう」
どうやら真相は教えてくれないらしい。
隠すようなことはちょっと気になるけど…ま、いっか。
頬に残っていた涙の跡をごしごしと拭いていると、そっとその手を掴まれる。
見ると、いつも通りの光輝……いや、普段よりもちょっぴり優しげな顔をした光輝があたしのことを見つめていた。

