そして……
「やっ……」
後ろからぐっと強い力で腕を掴まれ、強制的に振り返させられる。
「……!」
驚いたのはあたしだけじゃなかった。
あたしのことを振り返させた彼自身もかなり驚いたみたいで、目を大きく見開く。
息を切らしているところを見ると、走ってきたのだろうか。
ただ彼が驚いているのは、あたしがいたという事実だけではなくて、あたしが泣いていることも理由の一つな気がした。
「こ、うきぃ……」
名前を呼ぶだけで安心するなんて、あたしは病気なんだろうか。
そのまま一気に体の力が抜けて地面に崩れ落ちると、急なことにバランスが取れなかった光輝も一緒にしゃがみこんだ。
「……ったく」
額に汗をかいた光輝が呆れたように髪をかきあげる。
あたしはというと、さっき以上に大粒の涙をこぼしていた。
そんなあたしの涙を男の人らしい手で拭って、そっと頬を包む光輝。
涙でぐちゃぐちゃの顔で光輝に目を向けると、滲んだ視界でも光輝が笑っているのが分かった。

