「……なれないよ」
ぽつんと呟いたのはもちろんあたし。
特に誰に言ったつもりはない。
素直になんて…なれるわけないんだ。
だってあたし…ずっと強がって、突っ張って生きてきたんだもん。
幼い頃から…今じゃ考えられないほど泣き虫だった光輝の面倒を見ていたからかもしれない。
気づいたら弱気なところなんて人に見せなくなっていた。
「……なれるわけ、ないじゃん」
「何が?」
また独り言を呟いた……つもりだったのに。
すぐ近くから返答がきて、思わず体をビクッと跳ねさせる。
慌てて振り返ると、真後ろに光輝が立っていた。
「び、びっくりしたぁ…」
「……お前」
肝試しの直前ということもあってか、無駄にびっくりするあたしに光輝がすっと口角を上げて近づいてくる。
そして、目の前にまわってきてあたしを見下ろすとゆっくりと口を開いた。
「お前……怖いのダメだろ」
その言葉に驚きを危うく表しそうになる。
かろうじて耐えたものの、あたしは軽くパニックになっていた。
な、なんでぇ!?
こいつにいっつも見破られるのはどうして?
「そ、そんなわけないじゃん…!」
精一杯の強がりを言ってみせたけど、光輝にとっては全然説得力がなかったらしい。
呆れたような顔をあたしに向けると、
「じゃあ…」
ゆっくりとあたしに手を伸ばしてきた。

