「何だ……嬉しそうだな」
聞き慣れた声が聞こえてきて、ばっと振り返る。
「あ、光輝」
「珍しいじゃん。この公園にいるなんて」
鞄を少しダルそうに肩にかけながら近づいてくる光輝。
少しだけ胸の鼓動が早くなった気がしたのは…きっと気のせいだ。
何だか直視できなくて目を逸らす。
「別に…桜の木見に来ただけだし」
「ははっ、何で怒り口調なんだよ」
素っ気なく言ったのに、むっとするどころか笑われて。
それがさらにどうしたらいいか分からなくさせる。
あれ…なんか調子狂うな。
何でだろ。
地面のある一点を見つめてぼんやりしていると、不意に視界に彼の腕が入ってきた。
それは何の躊躇いもなく、あたしの腕をさらっていって。
驚いて見上げると、綺麗な青空を背景に光輝の笑顔があたしの視界に映った。
「帰るぞ。俺、腹減った」
そう言って、あたしの腕を引っ張る光輝はやっぱり強引だけど。
なぜか……嫌じゃなくて。
「……うん」
むしろちょっぴり嬉しかっただなんて…到底彼には言えないと思った。

