初めて自分からしたキスは、なんだかびりびりした。
恥ずかしくなって、すぐに離した唇。
光輝の目を見れずに、そのまま離れようとした…その時だった。
離れようとするのを阻止するかのように、後頭部と腰に手を回されて引き寄せられたのは一瞬のこと。
今後はあたしが唇をさらわれる番だった。
「んっ…ふ、ぁ……」
あたしがした触れるだけのとは別格の大人なキスが降り注ぐ。
舌を絡められて、きつくきつく抱き締められて。
酸欠まであと一歩、という時になってようやく解放された。
ぼんやりと見上げると、あたしのことを見下ろしていた光輝と目が合う。
彼の頬が赤く染まっていたのは…きっと気のせいだよね。
「こ、これでいい…の……?」
「っ、あぁ……」
光輝の目が熱っぽくなっているのに気づかないふりをして、あたしは彼に背を向ける。
だから……気づかなかったんだ。
光輝がいつもみたいに余裕な表情をしていなかったことに。
「じ、じゃあ…あたし戻るね」
いつもみたいに意地悪をしてこない光輝に戸惑って、どうしたらいいか分からなくて。
あたしは戻るという言葉だけを告げて、彼の部屋から逃げ出したのだった。