顎を持ち上げられて見た先にあったのは…
「っ、」
「……遅かったな?」
予想していた怒り顔じゃなくて、極上の笑顔。
普通の女の子ならくたくたにされてしまいそうな甘い笑顔。
でも…あたしはその本質を見抜いていた。
腰に回された手をぐっと引き寄せてきた光輝と顔が近づいて。
前髪が吐息で揺れるほどの至近距離に、頭がくらくらしそうだ。
「ちょっと俺の部屋に来てもらおうか」
「は、はい……」
有無を言わせないような口調に思わずかしこまって答えれば、それを合図にぐっと腕を引かれる。
さっきから崩れない光輝の笑顔。
それが逆に恐ろしいものに思えるんだ。
あの笑顔の裏は……なんて。
考えるだけで鳥肌が立つ。
そのまま連れて行かれるままになっていると、光輝はあたしを自分の部屋に連れ込んで
バタンッ……
少し乱暴に部屋の扉を閉める。

