視界が暗くなって見上げると、あたしの周りにはかなりの数の男の子がいて。
まるで集団リンチみたいなそれに、あたしは凍ったように動けなくなった。
「なぁ、松原さんさ…」
「おい、俺が一番にチョコ入れたんだぞ!」
「なんだと!?」
喧嘩をし始める男の子もいれば、あたしを口説こうと必死な男の子もいて。
あたしは毎年恒例のチョコレートフィーバーを思い出して、憂鬱になってきていた。
こうなったのも全部……
「あっ、愛子ぉおおお!!」
「へへっ」
あたしから遠く離れて、いたずらっ子みたいに笑っているあいつのせいだ!
まったく反省をしてない様子に、怒りを通り越して呆れてくる。
そして、脱力しているあたしにむかって愛子は口を開いた。
「あたしは男子の気持ちを尊重し……」
………ん?
不自然に愛子の言葉が切れて、違和感を感じる。
なにがあったのか見ようとしたけれど、男の子達が邪魔でよく見えない。
ただちょっとだけ垣間見えた愛子は、あたしのいる方とは別の方をきょとんと見ていて。
次の瞬間には楽しそうに微笑んでいた。

