靴箱を開けた瞬間に視界に飛び込んできたもの。
それは沢山のチョコレートだった。
開けた衝動で、そのうちの何個かが床に落ちる。
自分の靴すらも見えなくなるくらいのそれらに、はあ…とため息をついて気づいたこと。
そうか……今日はホワイトデーか。
毎年のことなのに、今年もまた忘れていた。
とりあえず、沢山あるチョコレートを運よく持っていた手提げ袋に詰め込んでいく。
ふと横を見ると、似たような状況に陥っている隣のクラスの知らない女の子と目があって。
どちらともなくあたし達は苦笑いすると、あたしはその子よりも先に教室に向かった。
そして…教室に入ってもいろんな視線があたしに向けられる。
靴箱だけで終わると思っていた。
……だけど、思ったよりその考えは甘かったようだ。
「っ、何これ……」
思わずそんな言葉が出てしまったのは…あたしの机の中までもが靴箱と同じような目にあっていたからだ。
……誰からか分かんないし。
またもや一つ一つあたしは手提げ袋に詰め込んでいくものの、既にパンパンになりかけている。
今日は体育着を持って帰るつもりだったのに……くそう。