「……お前、最近怒んなくなったよな?」
「そう?」
「うん」
あっという間になくなってしまったじょうろの水を補充しに、また水道に向かう。
あたしが待っている間に光輝もなくなったらしく、こっちに近づいてきた。
そして……あたしが背中を向けている状態で光輝が言ってきた言葉。
「……そっちの方がいいよ」
それはあたしの心臓の鼓動を早めるには十分すぎる言葉だった。
顔が熱くなっていくのが分かったけれど……気にしないふり。
「どーも。はい、じょうろ」
何でもない顔をしてじょうろを差し出して…ここまではよかったんだ。
「お、くれんの?」
少し驚いたように光輝が空のじょうろを渡してきて、水の入ったじょうろを受け取っていく。
その時に、光輝の手があたしにそっと触れて。
トクン、と胸が音を立てるのが聞こえた気がした。

