「えっ……きゃっ」
急なことに驚いたあたしは、慌てて振り返る。
動揺したせいもあってか、水道の蛇口から水が跳ねて少しかかってしまった。
「冷たっ!」
「ははっ、鈍くせー」
「うるさいな~」
恨めしげに見上げても、笑っている本人はまったく気にしていない様子。
くすくす笑っていた光輝だったけど、不意にあたしに手を差し出してきた。
「ほら、貸してみ?」
「だ、大丈夫だよ」
「いーから。
じょうろ2つあるんだし、
結構やるとこ多いじゃん」
そう言って、少し強引にあたしの手からじょうろを奪った光輝。
そのまま背中を向けて水やりを始めてしまった彼は、きっとあたしが微笑んでいることに気づいていないだろう。
………嬉しいな。
そんな気持ちを心にしまい込んで、あたしも自分のじょうろに水を汲んで木々に水をやり始めた。
「お前一人でやったら
トロいし、日が暮れるからな~」
「はいはい、ありがと」
前のあたしならきっと怒ってただろうな。
なんでだか分からないけど、最近すごく素直になりたい気分なんだ。

