ちょっと後退りしたけれど、抱き締められているから光輝も近づいてきて距離は縮まらない。
だけど、あたしの狙いはそこじゃなかった。
ある程度、後退りしてトンっと背中についたのはあたしの机。
そして、光輝の腕の隙間からそっと自分の腕を抜くと手探りで鞄の中を漁る。
目当ての物を手先で掴むと、逆の手で光輝の体を強く押した。
そして、顔を見られないように俯く。
「……!」
光輝が息を呑んだのがなんとなく分かった気がした。
なぜなら……
「……はい」
あたしが光輝にチョコを差し出したのだから。
「……え」
予想外だったのだろう。
目の前にいる光輝は固まったままだ。
顔に熱が上がっていくのを感じる。
「な…何よ、その反応」
まさか欲しいとか言っといて、いらないとか言ったら殴ってやるんだから。
でも、違った。
「いや……マジでくれんの?」
「……いらないならいいけど」
どうやら光輝は本当にもらえると思っていなかったみたいだ。
だから……

