光輝の吐息で前髪が揺れる。
「あ……」
少し不機嫌そうなその顔に、なんて言ったらいいか迷った。
鞄の中には光輝のチョコは用意してある。
だけど、同時に頭に浮かんできたのは学校で女の子達に囲まれていた光輝の姿だった。
……あれ、むしゃくしゃする。
この気持ちは一体何だろう?
自分で自分がよく分からないままゆっくりと口を開く。
「…あんなにいっぱい貰ってたから、いいじゃ…」
そこまで言いかけてはっとする。
これじゃまるで……―――
そして気づいた時にはもう遅かった。
目の前には楽しそうに微笑む光輝の姿があって。
しまった、と思ったあたしは本当にバカだと思う。
「何…もしかして嫉妬?」
「ち、ちが……」
口から出てきたのは弱々しい否定の言葉。
こんなの説得力に欠けるどころか、肯定しているようなものじゃないか。
だけど、さっきの自分の言葉は到底言い訳できそうになかった。
軽くパニックになっているあたしのことをくすっと笑い、手櫛で髪を梳いてくる光輝。
そして、自信満々にあたしに言ってきた。
「まさか…覗き見してたんだし?
なしはないよな?」
「…っ……」

